原作著作権:
The Global Movement for Children of Latin America and Caribbean(MMI-LAC)
"The World We Want-A Young Person's Guide to the Global Goals for Sustainable Development"
2014年10月初版発行、2015年8月改定
グローバル版編集:
SOS Children's Villages International
Save the Children
ユニセフ(国連児童基金)
World's Largest Lesson
「グローバル目標」ロゴ・アイコン:
The Global Goals http://www.globalgoals.org
日本語版制作:
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
東京都千代田区内神田2-8-4 山田ビル4階
Tel:03-6859-0070 Fax:03-6859-0069
http://www.savechildren.or.jp
※グローバル版を日本語版に翻訳するにあたり、一部の事例を日本の状況に合わせて変更しています
監訳:
(特活)ACE、(特活)国際子ども権利センター、(特活)チャイルド・ファンド・ジャパン、一般社団法人環境パートナーシップ会議、(特活)国際協力NGOセンター、(公財)プラン・ジャパン、動く→動かす、UNICEF東京事務所/(公財)日本ユニセフ協会、(特活)ワールド・ビジョン・ジャパン
イラスト・デザイン:たかはしなな
製本・印刷:(有)トータル マーケティング プリンディング
2016年からの15年間ですべての人々にとってより良い世界をつくるため、世界の国々の政府は、すべての人や私たちの地球にとって最も重要な目標について話し合いました。そして、17の「持続可能な開発のためのグローバル目標」が決められました。目標を決めるまでには、政府だけでなく、世界中で子どもや若者も参加して、多くの人びとや組織が協力しました。
持続可能って?
今、自分のまわりのことだけではなく、未来のみんなや地球も今みたいに暮らせるということ。
開発って?
十分に食べられなかったり、学校に行けなかったり、病気でも病院に行けなかったり、住んでいるところがとても危険だったり、暴力をふるわれたり、自由に意見が言えなかったりすることをなくして、みんなが安心して、自分の能力を十分に発揮しながら満足して暮らせるようにすること。
このハンドブックは、みなさんにこの「グローバル目標」について知ってもらうために作られました。この目標がみなさんの生活にどう関わっているのか、政府が目標を達成するために、みなさんが日々できることは何かを考えるためのものです。
「グローバル目標」は、今、私たちの世界が直面している様々な問題を解決することを目指しています。しかし、そのためには世界中の人びとの協力が必要です。みなさんやみなさんの家族、先生、友達、みなさんの地域に暮らす人、みなさんの兄弟や姉妹の協力が必要なのです。目標を達成するために何ができるのかを、私たち一人一人が考えることがとても大切です。一人の力は小さくても、世界中の多くの人びとが力を合わせれば、とても大きな力になるでしょう!
みなさんのような子どもや若者は、この目標についてどう思いますか?みなさんにとって一番大切なことは何か、みんなの生活をより良くするためには何が必要なのか、どのようにすればこの目標を達成でき、現在そして未来の世界をより良くできるのか、ということをぜひこのハンドブックを通して考えてみて下さい。このハンドブックを楽しみながら使っていただけるとうれしいです。
国際連合は、1945年に作られた、世界で最も大きな国際機関(多数の国が集まって作る国際的な組織)です。世界のほとんどすべての国が国連に参加しています。国連の仕事は、世界の平和と安全を守ること、世界の様々な問題を解決すること、子どもや若者を含むすべての人の人権(すべての人間が生まれながらに与えられている権利)を大切にすること、そしてこれらの仕事のために国々が協力するのを助けることです。
国連に参加している国々のことです(このハンドブックでは、「世界の国々」や「国連の参加国」としています)。2015年の国連加盟国は193か国です。
2000年は、ちょうど千年の区切りで「ミレニアム」と呼ばれます。そのミレニアムの年に開かれたサミット(国の一番の責任者である大統領や総理大臣たちの集まる会議)で、国連に参加している189の国の代表は「国連ミレニアム宣言」を採択(みんなで合意して選ぶこと)しました。この宣言が出されてから、世界は団結して貧困と闘ってきました。この宣言が、次にある「ミレニアム開発目標」の土台となりました。
ミレニアム開発目標は、国際機関や政府が、世界の様々な問題に協力して取り組むために作られた8つの目標です。その問題には、貧困や飢餓(長い間食べられず、栄養が足りなくなること)と闘うこと、HIV/エイズのような病気をなくすこと、男女間での差別をなくすこと、より多くの子どもたちが学校に行けるようにすること、などがあります。この8つの目標を達成するための期限は、2015年と決められました。2015年までに色々なことが良い方向に変わりましたが、まだやらなくてはいけないことが残っています。世界の国々は、この目標を達成するためにどのような努力をしたのかを、決められた時期に国連に報告します。国連は、それぞれの国がどれくらい目標を達成できたかを調べます。
MDGsの期限は2015年ですが、世界や私たちの政府は、MDGsがすべての人びとにとって達成されるよう努力を続ける必要があります。そして新たに出てきた課題や問題にも取り組むことが必要です。たとえば、世界中でいまだに10億人以上の人々が貧困の中で暮らしており、また多くの人びとが格差(豊かな人と貧しい人との間など、色々なことに違いや差があること)や不公平、差別を経験しているのです。
ここ数年、国連は2016年から2030年までの次の15年間の目標を決めるために話し合いをしてきました。そして、「持続可能な開発のためのグローバル目標」、あるいは短く「グローバル目標」として、17の目標が決められました。極度の貧困(生きていくために必要な食べ物すら手に入れられないほどの貧困)をなくすこと、すべての子どもが良い教育を受けられるようにすること、すべての人に平等な機会が与えられること、私たちの地球が汚されず健全であるように消費や生産の方法を変えていくことなど、世界にとって大変重要なことが目標に含まれたのです。MDGsによってどのようなことが達成されたのか、そして「グローバル目標」とどのように関係するのかを知りたい場合は、このハンドブックの最後の「付録」をみてください。
2015年9月、ニューヨークの国連総会で、世界の国々は「グローバル目標」について合意しました。この合意により、貧困を終わらせ、すべての人が平等な機会を与えられ、地球環境を壊さずに、より良い生活を送ることができる世界を目指して、世界中が努力することが約束されたのです。2016年から2030年までの15年間、世界中の国々はこの「グローバル目標」の達成に向けて取り組んでいくことになります。
国連は、2013年にオープン・ワーキング・グループという世界中の国々の代表が参加するグループを作り、何度も会議が行われました。このグループには教育や保健などの専門家も参加し、地球やすべての人のより良い生活のさまたげになっている、世界で最も緊急の問題が話し合われました。同時に世界中で、国の代表だけではなく、普通の人びとがこの問題を話し合い、「グローバル目標」に何を入れるべきかについて意見を出す機会が持たれました。これらの話し合いをもとに、オープン・ワーキング・グループは様々な問題に対して、「目標」と、目標をさらに詳しくした「ターゲット」の案を作りました。この目標とターゲットには、例えば、貧困や飢餓(長い間食べられず、栄養が足りなくなること)を終わらせること、人権や平和、ジェンダーの平等(すべての人が性を理由に差別されないこと)がきちんと守られること、また、環境や天然資源(自然の中から得られる資源。石油や水、森林、魚などの生物など)を持続可能な方法で管理することなどが含まれています。
オープン・ワーキング・グループの案が提出された後、今度は世界の国々がその案について話し合いました。そして、この案が意欲的な良い目標であるとして、この17の目標に政府として合意しようということが決まりました。政府はこの目標を世界中に紹介するために「宣言」の文をつくり、目標を達成するための具体的な行動や、目標が達成されているかどうかを確かめる方法などについても話し合いました。そして、2015年8月、世界の国々は、「宣言」、「持続可能な開発のためのグローバル目標」、そのための行動などの文書全体に合意しました。こうして、2015年9月のニューヨークの国連本部での正式な採択(みんなで合意して選ぶこと)の準備が整ったのです。このハンドブックでは、「グローバル目標」の17の目標と主なターゲットについて説明します。
持続可能な開発とは、将来の世代のための環境や資源を壊さずに、今の生活をよりよい状態にすることです。
今ある資源をすべて使ってしまい、未来の人々に何も残さない開発は、持続可能ではありません。持続可能な開発とは、共に成長し、他者を思いやり、環境を大切にする取り組みです。
持続可能な開発を行っていくためには、より公正(かたよらず、正義があること)で公平な社会に向けてみんなが協力し、大きな変化をもたらしていく必要があります。そのためには、国のリーダーが協力を約束しなければなりませんが、私たちにもやらなければならないことがあります。それは、例えば、子どもや若者に影響を与える問題について意見を言ったり、私たちや未来の世代にとっての理想の世界とはどんな世界なのかを調べたり、話し合ったりすることです。また、自分以外の人や地球を大事にするなど、私たちが毎日の生活の中でできることを、積極的に行っていくことも大事です。
※あらゆる形の貧困とは、お金がないだけではなく、教育や仕事や食料、水、病院、住むところなどの必要な物やサービスがない、あるいは受けられないことや、自分の意見を言えないなど、自分の持っている本当の力を十分に生かせないことも含まれます。
※再生可能エネルギー:太陽の光や風、川を流れる水の力、海の潮の力など、自然の力でつくるエネルギー。
※インフラ(インフラストラクチャーの略):みんなが生活したり働く上で必要な、社会的な施設や設備、サービスのこと。水道や鉄道、ガス・電気、インターネットなど。
※気候変動:人間の活動によって、地球をあたためるガス(二酸化炭素など)が空気中にたくさん出てしまい、地球の気温が上がることにより気候が変化すること。
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