CHANGレポート HIVに苦しむ子供
HIVの偏見にまで苦しむ子ども達
2019年4月:タイ
定期的に訪問している施設の中に、HIVの治療をしながら生活をしている、ローレンゾウホームがあります。
私たちが初めて訪問した当時は、HIVがどういうものかよく分かっていませんでした。
命に関わる病気、感染する病気、そういう印象でした。
しかし、HIVというのは普通に生活しているだけで感染するようなことはなく、また治療を続けていれば、一般的な寿命まで生きることができると聞きました。
若干の疲れやすさがあるようですが、それでも普通の会社の事務仕事にも就くこともできるのです。
実際にここの子ども達と接していて、「他の子供と何か違うところを感じますか?」と聞かれたら、「全くありません」としか答えられません。
ところが、タイでもHIVの認識が低いことから、この子たちは偏見で見られてしまい、とても傷ついているのです。
先日、ここの先生からとても辛かった話をお伺いしました。
ここの子ども達は普通の小学校に通っているのですが、近く合唱コンクールがあるというので、子ども達はそれを楽しみに、一生懸命に歌の練習をしていたのです。
そんな時です。同級生の親から「病気がうつるから参加しないでほしい」と言われたのです。
言われた子がどれだけ辛く悲しい思いをしたか。その気持ちを考えるとかわいそうでなりません。
これは今回だけでなく、同様のことは前々からありました。
同級生と遊ぶと、その親から「うちの子供と遊ばないで」と言われてショックを受けて帰ってきた子もいたのです。
先ずはHIVがどういう病気なのか、それをもっと人々が理解する必要があります。
これは社会全体や、学校としても積極的にそうした正しい情報発信に努めるべきことなのでしょう。
この子たちが、言葉の暴力に怯えることなく、安心して学校に通える日が来ることを願うばかりです。
HIVの子どもたちが、就職して自立できる社会へ
そして嬉しいこともありました。
二人の女の子が卒業し、就職したのです。
タイでもこうした子ども達に理解がある会社もあり、採用してくれたのです。
この二人の就職は施設で生活している子ども達の現実的な目標となりました。
中高生が何人かいますので、数年後がとても楽しみです。
そして同時に、こうした子ども達を受け入れてくれる会社、同僚として迎えてくれる人々がもっと増えてくれれば何よりです。
この施設に訪問する人々は多く、私たちが行った時もだいたい誰かしらのタイ人が物資や食事を届けに来ています。
日本の大学生や、タイで日本語学校をやっている先生もボランティアで語学を教えに来てくれています。
私たちもいまや5年間訪問を続けていますので、その間に気付いたこと、例えば先ほどの偏見であったり、または就職の支援につながる活動であったり、もっと深い行動を起こしていきたいと考えております。
子ども達は「日本に行きたい」「和食が大好き」とも言っていますので、先ずはレクリエーションとして、皆で日本料理屋に行きましょうか等と話をしているところです。